Facebookといえば、プライバシーデータの悪用の印象がぬぐえず、賠償額350億ドルにのぼる(約3兆8000億円)集団訴訟の行方が気なっている方もいるだろう。
数々の過ちを犯してきたこのテックジャイアントだが、少なくとも研究開発部門のFacebook AI Researchは、プライバシーデータ保護の方向に動いているようだ。
・最小限の修正で最大限の無相関化
ディープフェイクがビデオに個人の顔をマッピングするのに対し、今回の技術では顔識別子を排除する。姿勢や照明の具合、表情を自動で修正し、顔認識ネットワークをうまくだます。論文に掲載された修正前後のサンプル画像を見ても、人間は微細な違いしか識別できず、なぜAIがだまされるかが理解できない。
わずかに歪ませた顔画像を生成し、元画像にマッピング。最小限の修正で最大限の無相関化を実現しているとのこと。
・ビデオごとの再トレーニング不要
ネットワークは、ビデオごとに再トレーニングする必要がなく適用範囲が広いとのこと。また、ビデオの時間的な遅れがほとんどなく自然なのも特徴だ。顔認識システムが高度化するにつれて、プライバシーの保護を訴える声も大きくなってきている。セキュリティや利便性を高めてくれる同技術も諸刃の剣。データを収集する側の利益のための乱用も可能だろう。
強力な顔認識技術を開発し、力を持つ側のFacebookが、これを無効化する技術も提供してくれるのは好意的だ。
参照元:Live Face De-Identification in Video/Facebook AI Research