2019年10月には5080万ユーロを調達し、新薬開発を加速する狙いだ。この資金調達には、日本のベンチャーキャピタルであるグローバルブレイン社も出資している。
治療法の見つかっていない希少疾患に効果のありそうな既存薬品を発見する人工知能プログラム
同社は、希少疾患と既存の薬品に関する膨大なデータを収集し、人工知能を使って、治療法の見つかっていない難病に対して効果のある薬品はないかを発見する取り組みを行っている。既存のある疾患に有効な治療薬から、別の疾患に有効な薬効を見つけ出す「ドラッグ・リパーパシング」により、これまで臨床試験を始めるまでに7年かかっていた創薬プロセスを2年にまで短縮させる成果を上げた。
創薬向けに人工知能が活用される事例はいくつかあるが、多くの人工知能プログラムが一度にひとつの疾患を対象にするのに対し、Healxは複数の疾患を同時に分析できるため、効率が良い。
精神疾患のひとつである脆弱X症候群に対し、Healxは既存薬の中から効果のありそうな8つの薬品を特定。その中のひとつは、比較的軽度な少数の患者に対して薬品の安全性や有効性を確かめる臨床試験のフェーズIIまで研究が進んでいる。同社は来年までに、他の希少疾患についても臨床試験を始める計画だ。
日本のベンチャーキャピタルを含めた複数の投資家から、5080万ユーロを調達し、研究開発を加速する
Healxは2019年10月、シリーズBラウンドとして5080万ユーロ(約61億円)の資金を調達。この資金は、希少疾患向け新薬開発と、ドラッグ・リパーパシングによる開発期間の短縮をさらに促進するために使われる。一年前にシリーズAラウンドとして860万ユーロ(約10億円)を調達したのに続き、さらなる事業拡大を目指す。投資家には英国のベンチャーキャピタルAtomico、Abcam社の創業者であるJonathan Milnerと並び、日本のベンチャーキャピタルのグローバルブレイン社が名を連ねた。Healxの持つユニークな手法、高い技術力と事業開発能力が高く評価されている。
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