混合液は、握ると粉のような感触で、手の中で転がすとゴムボールのように固まる。ただ、転がすのをやめると液体に戻り滴り落ちてしまう(動画で挙動を確認してみてほしい)。
このような性質をもつ非ニュートン流体「ウーブレック」について、MITの研究者らが振る舞いを予測する数学モデルを開発。さまざまな条件下で、液体から固体になり、また液体に戻るさまをシミュレートしたようだ。
・粒子間に蓄積する電荷によるもの
数学モデルは、コーンスターチと水が子どもの手の中でどうなるかを予測するだけでなく、例えば道路の陥没にウーブレックを流し込んだとき、車がその上を走れかも予測できるという。ウーブレックを構成する粒子は砂よりもはるかに細かい。例えばコーンスターチ粒子のサイズは約1~10ミクロンで、これは砂粒の約100分の1だ。
ウーブレックに対してゆっくり作用すると、粒子間に蓄積する電荷の影響で粒子どうしがわずかに反発。粒子間にできる層によって液体のようにすべる。対して速く作用するとわずかな反発の影響を受けず、粒子が接触して摩擦抵抗が発生。固体のように振る舞う。
・ウーブレック上を転がるホイールをシミュレート
砂の場合はゆっくりかきまぜようが拳で叩こうが粘性が一定。これに対して、ウーブレックはゆっくりとかきまぜると粘性が低くなり、拳で叩くと接触点に隣接する領域の粘性が高くなる。つまり、作用の強さ/速さが素材の粘性の高さを決定するわけだ。研究者らは微細な粒子の反発効果をモデル化し、以前に考え出した砂の挙動を予測するモデルに組み込んだ。同モデルを使ってウーブレックによる既存の実験(プレート間で押しつぶした状態で切断、異なる速度で球を打ち込むなど)をシミュレート。すべてのシナリオで、シミュレート結果が実験データと一致し、ウーブレックの動きを再現したようだ。
さらには、敷き詰めたウーブレック上を異なる速度で転がるホイールを完璧にシミュレート。モデルがより複雑な条件でのウーブレックの挙動を予測できることを確認した。
同モデルを使用すれば、先に述べた道路陥没の応急処置など、さまざまなシーンでウーブレックを役立てられそうだ。
参照元:Oobleck’s weird behavior is now predictable/MIT News