こうした制限を受けずにソーラーの恩恵を受けられる「コミュニティソーラー」の人気が、今アメリカで高まっている。リモートで大規模ソーラーパネルを運用するこのモデルだが、最も電気代節約の恩恵を受けたい中~低所得層は、やはり参加できないでいるようだ。
MIT発のスタートアップ「Solstice」は、コミュニティソーラーへの参加障壁を取り除こうとしている。
・独自の信用スコアを開発
コミュニティソーラーでは、初期費用が発生せず、持ち家がなくてもリモートのソーラーパネルの一部に投資できる。参加者は、投資したソーラーパネルの発電対価が得られる仕組み。このように、屋上設置型のソーラーパネルよりも投資しやすいコミュニティソーラーだが、じつは参加者に高いクレジットスコアと長期契約が求められることがほとんどだ。
このためクレジットスコアを積み上げることが難しい中~低所得者層は、ソーラー市場から締め出されている。
Solsticeは独自の信用スコアを開発することで、支払い能力があるにも関わらずコミュニティソーラーに参加できなかった顧客を取り込むことを目指す。
・コミュニティソーラーの契約設計をシンプルに
Solsticeの使命は、コミュニティソーラーにシンプルな契約システムかつ手頃な価格体系を導入して、誰もが参加できるようにすることだ。顧客の募集/管理とともにコミュニティソーラー事業者に対しては、契約設計をよりシンプルにするよう働きかける。
独自の顧客認定基準「エナジースコア」を、MITやスタンフォード大学のデータサイエンティストと協力して開発。共料金の支払いなど、約87万5000におよぶ消費者のデータでトレーニングされた機械学習システムを使用して、コミュニティソーラーの支払い行動を予測する。
エナジースコアは、従来のクレジットスコアよりも正確に行動予測できて、これを適用することで低~中所得者層の多くがコミュニティソーラーに参加できるという。
Solsticeが新たな顧客層を開拓することで、コミュニティソーラー市場の成長が早まる可能性がある。
参照元:Helping lower-income households reap the benefits of solar energy/MIT News