MITのMBAプログラムで学んだReed Hayes氏は、高齢者のうつ病や認知活動の低下を解決すべくVRプラットフォームを立ち上げた。
・100以上の高齢者コミュニティが導入
Hayes氏は老人ホームを訪ね、うずくまっている男性におそるおそるヘッドセットをつけた。ゴッホの立体的な絵画とクラシック音楽のピアノ演奏が楽しめるVR体験をした男性は、足をたたいて笑い始めたという。こうした劇的な効果を目の当たりにしたHayes氏らは、スタートアップ「Rendever」を設立。100以上の高齢者コミュニティにVR体験をもたらしている。
Rendeverは、デバイスの貸し出しを含めたサブスクリプション制をとっており、コンテンツには、スキューバダイビングやハイキングといったアクティビティから、世界各地の旅行などが含まれる。
ユーザーは、昔行ったことのある場所や行きたかった場所をありありと体験できて、自然と会話が生まれるという。
・うつ病や社会的孤立の訴えが大幅に低下
Rendeverがもっとも重点を置く機能は、複数人で体験が共有できるもの。これによりコミュニケーションが生まれて、認知機能を活性化するという。また、家族で利用して絆を深める場合などに、個人的な写真やビデオ、360度写真をアップロードすることもできる。
パーソナルなコンテンツも提供しており、家に帰りたいと訴えていた、認知症の兆候がある女性は、VRで家に帰ることができて涙を流して喜んだという。
同社はMIT AgeLabと連携して効果の測定もしている。これによれば、VR体験をした高齢者は、うつ病や社会的孤立の訴えが大幅に低下し、幸福感が増すことを見出した。
こうしたVRによる影響がさらに明確になれば、世界中で高齢者施設でのVR需要が増すかもしれない。
参照元:Startup uses virtual reality to help seniors re-engage with the world/MIT News