・大気と再生可能エネルギーにより完全タンパク質を生成
アメリカ航空宇宙局(NASA)では、1960年代に、限られた空間と資源のもとで食料を生産するための新技術の開発に着手し、二酸化炭素を食料に変える単細胞生物「水素酸化細菌」を発見した。Kiverdiでは、このようなNASAの研究成果から着想を得、二酸化炭素をはじめとする大気中の成分から栄養のあるタンパク質に転換させる手法を研究し、これまでに50件以上の特許を出願している。
二酸化酸素や酸素、窒素といった大気中の成分と再生可能エネルギーによって、動物性タンパク質と同一のアミノ酸組成を持つ「Air Protein」を生成させるというのが、基本的なプロセスだ。
粉状の「Air Protein」は、ビタミンやミネラルが豊富に含まれている完全タンパク質で、季節を問わず、従来に比べて1万分の1の土地と2000分の1の水で短期間に生産できるのが利点。
ハンバーガー用パテとなる代替肉の原料にしたり、パスタやシリアルなど、様々な加工食品に幅広く活用できる。
・環境にやさしく、持続可能な食料生産に向けた新たな手法
大気から食料を生産する試みとしては、「Air Protein」のほか、フィンランドのスタートアップ企業Solar Foods(ソーラー・フーズ)でも、二酸化炭素と水、電気から生成するタンパク質「Solein」を2021年までに商品化する計画だ。いずれも、従来の農業に比べて、環境にやさしく、持続可能な食料生産の手法として、大いに期待が寄せられている。(文 松岡由希子)
Air Protein