2016年から開発が進められるRoboatは日々進化していて、最近、目的に応じて変形することが可能な仕様がテストされた。テストは3Dプリントによる4分の1スケールのバージョンでおこなわれ、効率的に構成解除/再構成ができたようだ。
・人や商品の運搬やゴミの収集を水路で
Roboatは人や商品の運搬のほか、ゴミの収集などさまざまな用途での活用が想定されている。形状を変えることで、例えば直線に連なって橋になったり、運河の端から端に効率よく商品を運ぶために横長になったりができる。プールでおこなわれたテストでは、Roboatは直線からL字型に変形。さらにコンピュータシミュレーションでは正方形からZ字型などより複雑な形状への変形が試された。
変形は目的地に向かって運航しながら、できるだけ迅速におこなわれる。アルゴリズムが正確に機能したため、今後は長さ約4m、幅2mの実物大Roboatを用いることが検討されている。
・変形では障害物も考慮しながら最適経路を計算
実は変形では複雑な制御がおこなわれており、障害物も考慮しながら最適経路の計算を100ミリ秒以内で完了させている。Roboatは、最小構形態「CVP(connected-vessel platform)」のセットで構成され、さらにこのCVPは、「コーディネーター」と「ワーカー」2種類のユニットから成る。
各CVPには、コーディネーターと1隻以上のワーカーが接続。コーディネーターが変形計画を立て、各ワーカーと通信しながらワイヤレスで制御する仕組みだ。
・移動する橋をかける
Roboatの社会実装は、手始めにアムステルダムの中心部、NEMO科学博物館周辺で計画され、60mの運河にRoboatによる動的な橋をかける。Roboatは円形の航路に沿って移動し、乗客を対岸で降ろす。従来の橋では、船舶が通るのを考慮して橋げたを高くするか、橋を跳ね上げる必要があったが、Roboatによる橋なら、フレキシブルに船舶を避けれる。現在、歩いて対岸に到達するのに約10分かかっているところを約2分に短縮できるという。
研究者たちは、Roboat実用化に向けて安全性の向上や、あらゆる自然条件にも対応できるよう開発を進める意向だ。
参照元:MIT’s fleet of autonomous boats can now shapeshift/MIT News