こうした最先端のテクノロジーとその影響を受けて生まれたアート、デザイン、建築を通して、これからのライフスタイルや近未来の人間像を考察するための展覧会が、森美術館で開催されることになった。
その名も、「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命―人は明日どう生きるのか」。
ゴッホの左耳を再現!?
六本木ヒルズ森タワー内にある森美術館で開催されることになった今回の展覧会。会期は2019年11月19日から2020年3月29日までとなっている。本展は、最先端のテクノロジーによって大きく変化し得る近未来について考察する展覧会だ。
技術発達が人間にもたらすのは、自由を謳歌するバラ色の未来なのか、あるいはテクノロジーに支配される未来なのか。そして、私たちはどのような未来をつくるべきか……。そういったことを、さまざまなを作品を通して考えることができる。
今回の展覧会は、「都市の新たな可能性」「ネオ・メタボリズム建築へ」「ライフスタイルとデザインの革新」「身体の拡張と倫理」「変容する社会と人間」の5つのセクションで構成されており、合計100点を超えるプロジェクトや作品が紹介されている。
中には近未来の生活をイメージしたコーナーも設けられており、衣食住に関する作品やプロジェクトが展示されている。「バイオ・アトリエ」には、現代のバイオ技術を使い、ゴッホが自分で切り落としたとされる左耳を再現した作品などもあるようだ。
数十年後の未来を考える
同美術館では、これまでにも「医学と芸術展」や「宇宙と芸術展」といった現代美術と歴史的・科学的資料を組み合わせたテーマ展を企画してきた。
今回はその領域をさらに広げ、現代美術のみならず、都市論や建築、デザイン、プロダクト・イノベーション、バイオアート、映画、漫画に到るまで、異色の展示物で構成されている。
ちなみに、「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命―人は明日どう生きるのか」というタイトルは、IBMが開発した人工知能「IBM Watson」との協働によって決定されたとのこと。
近年、IT界隈ではさまざまなニュースが飛び交い、技術革新や新しいサービスが次々と生まれている。このような状況だからこそ、一度「芸術」という観点から、ゆっくりと自分たちの未来について考えてみるのも面白いかもしれない。
森美術館
(文・栄藤徹平)