ノースカロライナ州立大学の研究者らは、電気シグナルに応じて形を変えるソフトポリマーレンズを開発した。このレンズを目に装着し、筋肉の動きからの電位を伝えることでピントを調整することが可能となる。ただし、明日から着けて生活できるような代物ではなさそうだ。
・2回まばたきしてズームイン/ズームアウト
ヒトの動きから電気シグナルを読み取り、ポリマーフィルムをコントロールする手法は人工筋肉の研究で広く用いられているものだ。今回開発のソフトレンズはこれを応用したものになる。ソフトレンズはヒトの目のレンズを模した構造になっていて、伸縮するポリマーフィルムの層間は生理食塩水で満たされている。
目の周りの筋肉の動きから生じる電気シグナルを検出してレンズの形状と厚みを変化。レンズ装着者は、2回まばたきすることでズームイン/ズームアウトの操作ができてピントを調整するとのこと。
・ピント調整できるメガネの開発やソフトロボットで応用
電気シグナルを拾うために目の周辺の皮膚には電極が取り付けられる。また、検出した電気シグナルを処理してソフトレンズのコントロールを促す役割は外部プロセッサが担う。こうしたシステムごと移動するわけにはいかないことから、ソフトレンズは生活で利用できるレベルには程遠い。電極を目立たなくして、配線がワイヤレスに、そしてレンズのサイズが小さくなれば実用化の道が見えてくるかもしれない。
研究者らは次のステップで、電極を伸縮性あるものに変更してレンズをよりスムーズに動かすことを、またレンズ内部の生理食塩水をハイドロゲルに置き換えることで視界をよりクリアにすることを試みる。
いまのところこのソフトレンズは、ピント調整できるメガネの開発、あるいはソフトロボットがヒトのように見る機構を得るためなんかに活用されそうだ。
参照元:These Lenses Zoom With a Couple Blinks of Your Eyes/Smithsonian.com