そんななか、健康データのアクセシビリティ向上を目指すCARINアライアンスは、医療データを共有するための標準規格「CARIN Blue Button 2.0」を策定。このほど、健康データの世界標準規格、FHIRに則った実装ガイド(ドラフト版)を公開した。
同アライアンスへの参加企業/団体には、Apple、Google、Amazon、Microsoftのような健康データを扱う大手ITも名を連ねていて、ヘルスケアの利便性向上を目的に足並みを揃える意向だ。
・健康状態に関するデータにいつでもどこでもアクセスできる
AppleやGoogle、MicrosoftはヘルスITにいち早く着目し、独自の健康サービスを展開してきた。例えばAppleは、米国の多くの病院と提携して、ユーザーがiPhoneの健康アプリから予防接種、検査結果、投薬などのデータを閲覧できるようにしている。またマイクロソフトも、HealthVaultを展開し(2019年11月にサービス終了予定)、ユーザーが自身の医療記録を管理できるようにした。ところが、これらはデータモデルを共有することが想定されていなかったため、プラットフォーム間で健康データにアクセスすることが難しかった。
ユーザーの視点で見れば健康データの囲い込みは利便性を損なうものでしかなく、最近ではこれを解消する流れがある。こうしたなかCARINアライアンスは、医療機関、デバイス、プラットフォームに関係なくデータが移植できて、アメリカ国民がいつでもどこでも健康状態に関するデータを得られるシステムを作ろうとしている。
・240以上のデータ要素を包括
Wow. @Google, @Microsoft and @amazon commit to working together to adopt open healh standards, available on the cloud, to accelerate seamless exchange of health data for patients. This is real. And it’s big. pic.twitter.com/hcZaXvup2x
— claudiawilliams (@claudiawilliams) July 30, 2019
CARINアライアンスによるBlue Buttonでは、公的医療保険や低所得者用医療扶助のサービス受益者が、シームレスに自身の医療データを利活用できることが目的の1つだ。例えば、アプリケーションを介して過去の請求情報や健康情報にアクセスしたり、医師の協力を得てより良いケアを選択するといったことを実現する。
連携機関からの要望を包括して制作されたBlue Buttonの実装ガイド(ドラフト版)には、240以上のデータ要素が示されている。今後はデータマッピングを改良していき、2019年9月には実装ガイドを更新してサードパーティ製アプリケーションでテスト。2020年にはAPIを実運用に移す計画だ。
Blue Button 2.0はアメリカのみの適用だが、運用がうまくいけば日本を含む他国のモデルとなるに違いない。
参照元:Apple, Google, and Microsoft partner to provide digital access to patients’ health records/The Next Web