当時から注目を集めていたのがNeuralinkとFacebook。Neuralinkに関しては最近、3000本の電極を脳に埋め込んでの実験構想が、設立者イーロン・マスクにより発表されて話題となった。
一方のFacebookに関しても進展があったようだ。
・毎分100語入力できる非侵襲型デバイスが目標
FacebookでのBCI技術の開発は、Facebook Reality Labsのプロジェクト、BCIプログラムにより進められている。同プログラムでは最終的に、毎分100語の入力を目標にしている。そして可能であれば、デバイス装着だけでこれを行いたい考えだ。2年間にわたってその実現可能性を探ってきた経過をブログで発表。アルゴリズムの向上とコンピュータの高速化によって、読み取りの速度も向上し、リアルタイムでの読み取りが可能になったとのこと。
実験は、Facebook Reality Labsが資金提供するカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究チームによりおこなわれており、このほど読み取り精度の向上が明らかになった。
コンテキストの追加で読み取り精度が大幅に向上
いまのところ研究チームは、脳の表面に電極を貼り付ける方法で考えの読み取りを行っており、脳の聴覚野と感覚運動野の2パートからシグナルを得る。また、聴き取りと発話とでは脳の働きが異なるため、この両方を分けて読み取りを試している。今回のブレークスルーは読み取りにコンテキストを追加したことで、例えば「この部屋はどんな感じ?」と質問を投げかけて答えを聞きとる。これにより「明るい、暗い、暑い、寒い、良い」といった答えが予測できて、聴き取りと発話のそれぞれで最大76%、61%の精度で考えの読み取りが可能だった。
Facebookが目指すのはARゴーグルでBCIを活用すること。限られた質問からの読み取りでも十分有用だ。ただし、電極の代わりに赤外線を用いた非侵襲型デバイスについては、まだ実用化の目処が立っていない。
研究チームは、まず脳卒中や脊髄損傷などで話す能力を失ったヒトに読み取り技術を活かしたい考えだ。
参照元:Facebook Closer to Augmented Reality Glasses With Brain Implant That Decodes Dialogue From Neural Activity/IEEE Spectrum
Imagining a new interface: Hands-free communication without saying a word/Tech.Facebook
Real-time decoding of question-and-answer speech dialogue using human cortical activity/Nature Communications