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Start Up 日本発のチャレンジャーバンクを目指す「Kyash」が描く金融の未来

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日本発のチャレンジャーバンクを目指す「Kyash」が描く金融の未来

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金融業界にテクノロジーの力を掛け合わせたフィンテック分野は、ここ最近盛り上がりを見せている。QRコード決済サービスが続々とリリースされ、スマホさえあれば現金いらずで決済ができてしまう。

こうしたキャッシュレス社会の到来は、旧来の金融機関のあり方をも変えることになる。テクノロジードリブンなスタートアップと手を組み、DX(デジタルトランスフォーメーション)の波に乗らなければ、生き残れない時代がやってくる。

フィンテックベンチャーの株式会社Kyashは、日本を代表する金融機関からも注目されている企業のひとつだ。三井住友銀行(SMBC)や三菱UFJ銀行、みずほ銀行、新生銀行のCVCやFacebookやTwitter、Spotifyへの投資実績もあるシリコンバレーのベンチャーキャピタルGoodwater Capitalから投資を受けている。そして、驚くべきことは世界的カードブランドVisaの発行ライセンスを取得していることだ。

同社代表の鷹取真一氏がどのようにしてサービスをグロースさせ、独自の金融プラットフォームを築いたのか。その真意に迫った。

お金のやりとりにかかる煩雑さをなくす

――鷹取さんは三井住友銀行出身とのことですが、その頃から金融系の事業を立ち上げたいという思いがあったのでしょうか。

鷹取氏:いえ、実はそういうわけではないんです。もともと、将来的にサービスを提供する側に立ちたいとは漠然と思っていました。でも、大学卒業を前にして「何のビジネスをやりたいか」が全く定まっていなかったんです。

そこでまずは銀行に入社して、様々な会社と関わりを持ち、世の中を俯瞰的に見ながら自分のやりたい事業を見つけようと思って入社しました。

――ところが、その金融業界に興味を持ってしまった、と。

鷹取氏:そうなんです(笑)。法人営業担当後に配属された経営企画で海外拠点の立ち上げを担当していました。この経験が、Kyashを起業するきっかけになりましたね。

海外の銀行ビジネスを学び、金融を取り巻く状況を肌で感じる中で気づいたのは、日本の金融構造がいびつだということ。

まず、海外では銀行がクレジットカードを発行できるのに対し、日本ではカード会社でないと発行ができない。また、カード会社の明細を確認しても銀行残高は表示されないですし、利用履歴の反映は時間がかかりリアルタイムに把握できない。

このような利便性に欠ける点や、金融機関に関わる手続きは非常に煩雑だと感じていました。日本の金融システムはユーザーファーストになっていないという課題を解決したいと思うようになったのです。

――その課題解決のためにKyashを立ち上げたということでしょうか。

鷹取氏:はい、そうですね。私自身が体験した例としては、東日本大震災の際に寄付金を送るときの手続きが非常に煩雑であったことですね。そのために、もっと想いのままに価値を動かせる送金システムが必要だと思っていました。このような背景から、もっと気軽にお金のやりとりができたらという想いがありました。

お金という「価値」を自由に移動でき、リアルタイムに残高や明細の確認、決済までワンストップで完結できる。そして、送金や決済の留まらずユーザーが求める金融体験を提供できるようなインフラを構築できないかとの考えから、起業に至ったんです。

ライトパーソンを見つけ、その場で決を採れるキーマンにアタックする

――Kyashの提供するサービスについて簡単に教えて下さい。

鷹取氏:KyashはToC向けにウォレットアプリ「Kyash」を提供しています。スマホのアプリ上でバーチャルカードを発行して、モバイルでの決済や送金に対応しています。つまり、いつでもどこでもスマホさえあれば、買い物や寄付ができるわけです。また、2018年6月からは、Visaのリアルカードも発行できるようになり、VISA加盟店でも利用が可能になりました。

直近では、新たな事業モデルとして、ToB領域の「Kyash Direct」をリリースし、企業の自社ブランドのVisaカード発行サポートやこれまで培ってきたカード決済技術をAPI公開して決済周りをワンストップで提供するサービスを展開しています。

――バーチャルカードから、Visaのリアルカードを発行できるようになったタイミングで、ユーザーが毎月倍々に増えたとのことですが、パートナーにVisaを選んだ理由はあるのでしょうか?

鷹取氏:Kyashは現時点で残高の引き出しができないため、使える場所があまねく広くないと価値のある残高としてみなしてもらえません。そのため、国内外で一番広く使える決済会社と組もうと考えたことと、東京オリンピックに向けたグローバルスポンサーであったVisaと組むことが最も理想と考えました。そして、縁あってVisaと提携することができました。

――スタートアップがVisaとパートナーシップを締結するのってかなり苦労されましたよね?

鷹取氏:そうですね(笑)。グローバルでプロダクトの責任者の紹介を受け、グローバルに話を進めてもらえたのが大きいと思います。たとえ熱量を持ってプレゼンしても、決裁者まで距離が遠ければ熱量まではキャリーされづらい。プレゼンの際はKyashの実績や国内大手のシステムベンダーに「カード決済したらリアルタイムにプッシュ通知を飛ばすシステム」を提供していたことなど、アピール材料をまとめ、「いかに話を聞く価値のある人間か」を先方に感じてもらうことを意識しました。

結果的に、ビジネスモデルや今後の可能性に価値を感じていただき、Visaとのパートナーシップが決まったんです。

業界慣習で動いてきた金融業界の変革

――今後Kyashとして考えている展望について教えて下さい。

鷹取氏:ユーザーを起点として、あるべき金融の姿を実現させていきたいと考えています。それには、業界慣習や常識にとらわれず、過去の延長線上にないビジネスを考える必要性があります。

シンプルにKyashというサービスを通じて、どう人々の暮らしが変わっているかを意意してプロダクトを作って行きたいと思います。ただ利便性や画面の見やすさに終始するのではなく、いかにユーザーの行動変容に繋がるかが大切。

そういう意味でいうと、Kyashと親和性のあるサービスと外部連携をしていき、ユーザーにとって価値ある金融体験を創出し、人々の暮らしに欠かせないプロダクトにしていきたいと考えています。

Kyashは現在スマホのみですが、今後はユーザーの利便性を考え様々なものとコネクトしていきたいと考えています。また、コネクトだけでなく現金の引き出しや給与の受け取りや、レンディングなど、バンキング体験を提供していく予定です。ここでいうバンキングとは、銀行免許を取得するということではなく、それらに類する免許を自社で取得し、従来の銀行が提供している機能をKyashのようなFintech企業が提供していくことを指しています。

Kyashが提供するプラットフォーム上で、様々な形で自由にお金のやりとりが生まれたら、より世の中は豊かになると信じています。それが、Kyashの目指す「価値移動のインフラ」。その礎として、まずはチャレンジャーバンクを目指していきます。

鷹取真一(たかとり・しんいち)
Founder & CEO
早稲田大学国際教養学部卒業後、三井住友銀行入行。
法人営業、経営企画部門で海外拠点設立、金融機関との提携戦略を担当。2013年米系戦略コンサルファームに転籍し、
日米拠点にて新規事業を支援。2015年1月にKyashを創業し、新しい価値移動の仕組みを提供。
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