蘭ロッテルダムを拠点とするスタートアップ企業Soboltによって開発された。
・人工知能で衛星画像データなどを解析し、高温地点をマップで可視化
「HeatAlert」は、ディープラーニング(深層学習)の手法によって、地表を撮影したマルチスペクトル熱赤外(TIR)衛星画像データや気象データなどを解析。高温となっている地点を200メートル四方の高解像度でマップ化するとともに、今後1週間のヒートアイランド現象の発生を予測する仕組みだ。
Soboltでは、行政機関や地方自治体らに向けて、「HeatAlert」による解析結果をカスタマイズし、その解析レポートを2500ユーロ(約30万2000円)で提供。各地域の都市計画やヒートアイランド対策、高温対策などに役立てられている。
・ヒートアイランド対策は世界各地で重要な課題に
欧州では、2019年夏、相次いで熱波に見舞われている。7月25日には、オランダ、ベルギー、ドイツで気温が39度を超え、仏パリでは41度と、1947年以来72年ぶりに最高気温を更新した。高温は、とりわけ高齢者や乳幼児などの「熱中症弱者」にとって健康リスクであるほか、労働者の生産性に悪影響を及ぼしたり、飲用水や電力の不足を招くおそれもある。地域住民の生活や地元の経済活動を支える地方自治体にとって、ヒートアイランド対策は重要な課題のひとつ。
「HeatAlert」のようなツールを活用することで、ヒートアイランド対策にまつわる都市計画や施策の精度の向上につながりそうだ。(文 松岡由希子)
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