今回ご紹介する「Nao.」は、そんな人々を助けるために生まれたプラットフォームだ。何か意見を言えば批判される現代で、傷ついた心をケアするために誕生した。
提供元のHoloAsh社はAIを使ったモチベーション・インタビューイングというアプローチで、メンタル問題の解決を試みるスタートアップ。CEOのYoshua Kishi氏に、サービスの詳細ついて話を聞いた。
・24時間誰かと話せる環境を提供
Q1:本サービスはどのようにして、ユーザーのメンタルをケアするのでしょうか。「Nao.」はAIとソーシャルメディアを融合したSNSサービスで、24時間誰かと話せる環境を提供し、ユーザーのメンタルケアをしています。
例えば、深夜にちょっと寂しさを感じたり、つらい気持ちになったときに、AIによるチャットボットで相談にのってもらったり、自分と同じような悩みを持っている人と会話をして、つながることができます。既存のSNSのように自分自身を着飾ることなく、ありのままの自分を表現し、共感し合える場所を作っています。
Q2:最初の展開拠点として、北米を選んだのはなぜでしょうか?
プロダクトと文化がうまくフィットする、と思ったからです。北米はヘルスケアへの意識が高く、セラピーへの理解はあるものの、金額の問題などで誰もが気軽に受けられる環境ではありません。また、SiriやAlexaなどを日常的に利用する人も多く、AIが身近な存在であることからプロダクトの方向性とマッチする、と思いました。
実際に北米に足を運んでみて、目の前の課題に積極的に取り組み、解決したいという思いが芽生えました。
・人種を超えた人と人の共感を生みたい
Q3:開発にあたって最も苦労したのは、どのようなところでしょうか。従来のSNSに見られる、ネガティブな感情の連鎖を防ぐ設計に注力しています。そのために、心理的に安全性を感じられるユーザーエクスぺリエンスを目指しました。
例えば、投稿ごとにアカウント名が自動的に変わる匿名性を採用したり、攻撃的なフィードバックの抑止力となるよう、コメント欄には「いいね!」ボタンに代わって「わかるよ」「つらかったね」などの共感ボタンを設けました。社会とのつながりを持ちつつ、より自分自身を素直に表現できる世界を目指しています。
Q4:サービスを通して、どのような世の中にしたいと思いますか?
実は僕自身、ADHD(注意欠陥多動性障害)があります。ADHDに限らず、発達障害やうつなどのメンタル問題、怒りっぽい性格や孤独を感じやすい体質など、周りとの「違い」に悩む人は世の中にたくさんいると思います。そういった人たちが生きやすい社会を作ることが「Nao.」の目的です。
多様性を受け入れ、「違っていることが当たり前」な世の中を実現し、宗教や人種の壁を越えた人と人との共感を生み出していきたいですね。
(取材・文 乾 雅美)
Nao.