研究成果をまとめた論文は、学術雑誌のサイエンス(Science)で掲載されている。
・キュウリの巻きひげの仕組みを模倣
キュウリなどのウリ科植物は、茎から巻きひげを出して、周囲の物に絡み付き、茎を固定させながら、日光に向かって伸びていく。巻きひげは、支えとなる周囲の物に先端が触れると、スプリングのように巻きはじめ、巻きひげの先端と茎との中間あたりで、巻く方向が反転する仕組みとなっており、これによって、外部から力がかかってもほどけにくく、茎を丈夫に支えることができる。
研究チームでは、このような巻きひげの仕組みを人工筋肉に応用。
弾性を持つ「共重合体エラストマー」と「熱可塑性ポリエチレン」という熱膨張率の異なる2種類の繊維を組み合わせることで、元の長さの数倍に伸ばすと、キュウリの巻きひげのように自然とスプリング状を形成する人工筋肉をつくり出すことに成功した。
この人工筋肉は、極めて軽量で、反応速度が速く、自重の650倍を超える重量物を持ち上げることができる。
・ロボット工学から医療まで、幅広い活用が期待される
研究チームによると、この人工筋肉は、数マイクロメーターから数ミリメーターまで、様々なサイズに展開でき、数百メートル単位でまとめて製作可能。ロボット用人工筋肉や義肢など、ロボット工学から医療にわたって、幅広く活用できると期待が寄せられている。(文 松岡由希子)
Massachusetts Institute of Technology