研究成果をまとめた論文は、学術雑誌「The Journal of Field Robotics」で掲載されている。
・レタスの収穫の是非を判断し、結球を傷つけずに収穫するロボット
アイスバーグレタスは結球種のレタスの一種で、傷つきやすく、地面に対して平たく成長するため、収穫作業の自動化は技術的に難しいと考えられてきた。「Vegebot」は、コンピュータビジョンシステムとカッティングシステムで構成され、内蔵カメラでアイスバーグレタスを検知。その色から収穫の是非を評価したうえで、結球を傷つけることなく切り取り、所定の場所に移動させる仕組み。
研究チームでは、独自に開発した機械学習(ML)アルゴリズムにアイスバーグレタスの画像データを与え、収穫の是非を高い精度で判断できるよう学習させることにも成功している。
・ロボット工学の農業分野への応用が広がる
近年、自律型トマト収穫ロボット「Root AI」や、イチゴの自動収穫ロボット「Strawberry Picker」、蘭ワーヘニンゲン大学の研究チームが開発するパプリカ収穫ロボット「Sweeper」など、ロボット工学を農業分野に応用する試みが増えている。研究論文の共同著者であるケンブリッジ大学の飯田史也博士は、「Vegebot」の仕組みについて、「アイスバーグレタスだけでなく、他の作物にも応用できる」と期待を寄せており、今後、さまざまな農作物を対象に、自動収穫ロボットの開発がますます広がっていきそうだ。(文 松岡由希子)
University of Cambridge