そんななか、スウェーデンのチャルマース工科大学が太陽エネルギーを使って室温を調節する窓フィルムを開発した。
・太陽光線にぶつかると光子を捕獲して異性化され、熱を放出
この窓フィルムは、特別設計された分子「MOST」を含む。MOSTは「Molecular Solar Thermal Storage」の略だ。MOST は、太陽光線にぶつかると光子を捕獲して異性化し、熱エネルギーを別の形で保存する。日没後最大8時間にわたって熱を放出することができる。
当研究の目的は、暑い日でもエアコンや日よけを用いることなく、快適な室内環境を作り出すことだ。
・空港やオフィスなどのエネルギー消費量を削減可能か
色が変化するのもこの窓フィルムの特徴だ。太陽エネルギーを吸収していない夜明けには、フィルムの色は黄色または橙色。分子が太陽エネルギーを捉えて異性化されると、色が消えて透明になる。そして日光が弱くなってくる夕暮れ時、熱がフィルムから放出され始め、次第に黄色に戻る。以前にも、研究チームは同じ分子を使った住宅用のエネルギーシステムを発表している。このシステムではエネルギーは数か月にわたって貯蔵されたが、今回、分子の最適化によってエネルギー変換の期間短縮に成功した。
研究チームは、このフィルムを使って空港やオフィスなどのエネルギー消費量を削減できるとみている。今後の課題は、フィルムの特性を保持しつつ、フィルム内の分子濃度を上げて分子の価格を下げることだが、研究チームは、この課題は近いうちに達成できるとの見解を発表している。
今後のさらなる研究開発が期待される。
Chalmers University of Technology