日本古来の伝統文化である刀剣に再びスポットが当たっている今、東京国立博物館がユニークな企画を始めるようだ。
独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館、独立行政法人国立文化財機構文化財活用センターと凸版印刷株式会社は、東京国立博物館が所蔵する国宝「太刀 銘 三条(名物 三日月宗近)」(以下、三日月宗近)「太刀 銘 吉房(号 岡田切)」(以下、岡田切吉房)の二口を紹介するVR作品「VR刀剣」を製作し、TNM & TOPPAN ミュージアムシアターで7月3日より上演を開始する。
・刀剣の美と技を堪能! 4K品質で高精細VRでディティールまでわかる
刀剣は長きにわたり大切に守られてきた文化財。千年に及ぶ歴史の中で、刀剣の技と美しさが形作られてきた。
「VR刀剣」は、東京国立博物館が所蔵する名刀の中でも際立った特徴を持つ二口を、凸版印刷のVR技術によって再現を試みたもの。
展示室では見ることが難しい刀剣のディテールを、世界で初めて4K品質で高精細VR化。刀剣のもつ独特の魅力に、VRならではの新しい表現方法で迫っていく。
展示室では、実際に展示物を手にとって観察することはできないため、どうしてもガラス越しだったり、角度が固定されていたりして、刀剣の詳細を自由に見ることはできない。
「VR刀剣」では、「三日月宗近」「岡田切吉房」を対象に高精細なデジタルアーカイブを実施し、取得したデータを用いて、VRで刀剣の持つ美しさを再現。VR上で刀剣を自由に動かしたり、刀剣を大画面いっぱいに拡大して鑑賞したりすることで、刃文の煌めきや地鉄(じがね)の模様など、展示室では見ることができない部分も鑑賞できる。
・国宝の刀剣「三日月宗近」「岡田切吉房」の実物展示も同時開催
■国宝「三日月宗近」「岡田切吉房」について
(国宝 太刀 銘 三条(名物 三日月宗近) 東京国立博物館所蔵)
作者の宗近は、平安時代、京都の三条に住んだと伝えられる刀工で、日本刀成立初期の名工として名高い。刃文に三日月の形が見えるので「三日月宗近」の号を持つ。豊臣秀吉の正室、高台院が所持し、その遺品として徳川秀忠に贈られ、徳川家に伝来した。
■国宝「岡田切吉房」について
(国宝 太刀 銘 吉房(号 岡田切) 東京国立博物館所蔵)
作者の吉房は、備前国(岡山県東南部)福岡一文字派の刀工。鎌倉時代中期に活躍した。この太刀は吉房の作刀の中で最も華やかな作風の代表作。織田信長の次男 織田信雄がこの刀で家臣の岡田助三郎重孝を斬ったということから「岡田切」の号で知られる。
VR作品内で紹介される国宝刀剣二口が、同館本館13室に7月23日(火)から9月29日(日)まで併せて展示され、実物とVR双方を鑑賞することができる。
「VR刀剣」は、東京国立博物館 東洋館内にある「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」で上映。このシアターはVRによる文化財の新しい鑑賞方法を体験できる施設。超高精細4Kプロジェクタを用い、東京国立博物館の収蔵品を中心とする文化財デジタルアーカイブをVR技術で可視化し、展示品の新たな楽しみ方を提供する空間となっている。
「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」で2019年7月3日(水)から10月6日(日)まで公開予定。刀剣の魅力に、実物、VRの両方の角度から堪能できる今回の企画展示。ぜひ足を運んでみては。
TNM & TOPPAN ミュージアムシアターWebサイト
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