3Dプリントによる衛星打ち上げロケット、「Terran 1」を開発するのが、米カリフォルニア州に本拠を置く航空宇宙関連スタートアップ、Relativity Spaceだ。
同社はこのほど、NASAのステニス・スペース・センターと9年間のリース契約を結んだことを発表。ミシシッピ州にある22万平方フィート(約2万平方メートル)の新施設は、同社の持つ既存の研究開発施設と工場を補完するものだ。
・世界初のロケット自動製造施設を目指す
ロケットエンジンを構成する部品の数は膨大で、製造には10~14ヶ月を要するという。これに対して「Terran 1」のエンジンは、3つの主要部品で構成される。そして、主要部品のうちのひとつ、チャンバー(混合気の膨張室)を製造するのに要する期間はわずか2~3週間だという。
3Dプリントされた部品はロボットアームによって組み立てられ、組み立てプロセスは自動化される。
また、プロダクトの設計の変更は、プログラムを書き換えて調整でき、大がかりな設備の変更が必要ないという。
・将来的には火星に製造施設を
ロケットの重量が減らせるとなれば、ロケットの燃料が減らせてより多くの積荷を載せることが可能となる。また、製造プロセスの自動化と高速化により、エンジニアは設計に集中できて開発サイクルが早く回せる。Relativityは火星に行くためのロケットをプリントすることのみならず、ロケット製造施設ごと火星に移植して、現地でロケットを製造するとの長期的ビジョンを持っている。これは、ロケット製造に要する原材料がシンプルだからこそ成し得ることだ。
Relativityは、2020年後半には第一回目となる「Terran 1」の打ち上げテストをおこなう予定。フロリダ州ケープカナベラル空軍基地の打ち上げ施設を確保している。
同社の製造した3Dプリントロケットの実用性が証明されれば、ロケットの製造プロセスに革命をもたらすだろう。
参照元:Startup Aims to 3D Print Cheaper, Lighter Rockets/IEEE Spectrum