気象センサーが読み取る水蒸気からの放射線は23.8GHzで、これが5Gに割り当てられる24GHz帯と隣接しているのだ。もし気象センサーが放射線の変化をうまく読み取れなければ、天気予報の正確性が大きく損なわれるという。
これに対して異を唱えたのが米連邦通信委員会(FCC)の委員長、Ajit Pai氏だ。FCCはすでに、24GHz帯を競売にかけ、AT&TやT-Mobileなどが購入する。
・NOAAの研究の欠陥を指摘
Pai氏によれば、NOAAの研究には欠陥があるとのこと。
例えば、5Gではビームフォーミングにより狭い範囲で電波を送信することから、気象センサーに影響を及ぼさないと主張している。
それに、5Gで利用される周波数帯は24.25~25.25GHzの範囲内で、水蒸気の23.8GHzとは250MHz以上離れているとの言い分だ。
すでに運用されているシステムもあるが、この2年半で気象センサーが干渉を受けたとの報告はないという。
対案としてNOAAは、電波の低電力放射での運用を要求しているが、Pai氏は、それでは5Gが機能しない可能性があるとしている。
・NOAAは77%のデータ欠損を予測
NOAAは研究結果に基づき、FCCが承認した電力レベルでシステムを運用すれば、約77%のデータの欠損につながることを示唆。
衛星による気象予報システムでの天気予報の精度は大幅に低下する可能性があるという。
実は、多くの国では5Gに24GHz帯は利用されていない。日本に関しても3.6~6GHz帯や28GHz帯が割り当てられる計画だ。
このまま24GHz帯での調整が進められれば、ただでさえ5Gで出遅れ気味のアメリカがさらに不利な立場に追いやられる可能性があるだろう。
参照元:Ajit Pai says NOAA and NASA are wrong about 5G harming weather forecasts/ArsTechnica
5G likely to mess with weather forecasts, but FCC auctions spectrum anyway/ArsTechnica