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Marketing 【interview】Expediaグループ「HomeAway」が手がけるバケーションレンタル型の新しい民泊体験とは

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【interview】Expediaグループ「HomeAway」が手がけるバケーションレンタル型の新しい民泊体験とは

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住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されて約1年。一時期の民泊事業の盛り上がりから一周して新たな局面を迎えようとしている。今回はExpediaグループで民泊予約サイトを運営する「HomeAway」日本支社長の木村氏に、バケーションレンタルの概念と今後の民泊市場の展望について話を伺った。

バケーションレンタル型の民泊体験を日本でも広めていく


Q1.HomeAwayのサービスについて簡単に教えてください。
HomeAwayは元々、別荘のオーナーが不在時に旅行者に貸し出すことから始まったサービスです。アメリカでは1985年にバケーションレンタル協会が発足し、欧米を中心にバケーションレンタルの概念が広まっていきました。

2005年に別荘を中心とした物件を、一棟丸ごと貸し出すというWebサイトをリリースし、本格的にサービスを開始し、現在では世界190ヶ国・200万以上の物件を扱っています。

日本ではバケーションレンタルよりも、民泊という言葉の方が広まっていると思いますが、弊社が打ち出しているバケーションレンタルは民泊よりも広義な意味で、ターゲットやカテゴリーも異なるものとなっています。マンションの一角で宿よりも安価で泊まるというイメージではなく、家族やグループ滞在をメインターゲットにゆったりできる物件を中心に扱っていて、欧米では認知されているバケーションレンタル型の民泊体験を提供しています。

Q2.民泊新法によってバケーションレンタル市場の変化はどのように変わりましたか。
昨年国が施工した民泊新法によって、違法民泊業者が減り法整備されたことで、民泊産業がクリーンになりました。また、今までは個人での賃貸の又貸しや一部のスタートアップ企業が代行会社を運営していたのが、保険や不動産、航空などさまざまな業界の大手企業が民泊市場にどんどん参入するようになりました。

大手企業が、本格的なビジネスチャンスと捉えるようになったことで、1年で物件数は約16,000件までになり、民泊特区や簡易宿所を含めると約40,000件の物件が登録され、市場の盛り上がりを感じています。

Q3.AirbnbとHomeAwayの違いはどのようなものでしょうか。
AirbnbはHomeAwayが2005年にローンチした3年後の2008年にリリースされました。同じ民泊を扱うサービス事業者でありますが、ターゲットとなる年齢層や人数、物件の立地などが異なっています。

Airbnbは、若年層が一人旅やカップルで用いるケースが多いと思います。家主滞在型中心で、旅行先でのホームステイ体験やホストとの交流にサービス価値を感じるユーザー層に刺さる物件が都市部を中心に貸し出しています。

その一方でHomeAwayは、家主不在型中心で30代後半から50代といった中年層が、家族やグループ旅行で利用する傾向があります。物件の立地も都市部ではなく、地方やリゾート地のペンションやヴィラなどの一棟貸し物件で、休日に家族や知人とゆったりするというスタイルのトラベラーにお使いいただいていますね。

ホストとの交流ではなく、プライベートな空間を大切にしたいというユーザーをターゲットにしていて、1泊あたりの単価も高く、米国の調査データによるとAirbnbと比べて予約単価も2倍弱と高めとなっています。

民泊に関わる事業者全体で市場を底上げする


Q4.地方創生の文脈でDMO(観光地マーケティング組織)が注目されています。インバウンドマーケティングでの取り組み事例があれば教えてください。
古民家の再生という軸から、瀬戸内の魅力を伝えるためにグローバルサイトへ掲載し、販売や集客に対してのマーケティング支援を行いました。さらに、瀬戸内地域全体の認知度向上を図るために、瀬戸内地域の7県の魅力をインフルエンサーを活用しながら、ブログなどで訴求しておすすめの物件も合わせて紹介していくプロモーションを展開しました。

また、九州では九州シェアリングエコノミー推進協会と協力して、福岡以外の地方都市への観光誘致を目的にした「福岡プラス1」というプロジェクトも行いました。ライドシェアなど観光に関連するような事業者とも連携して、プロモーション展開した事例となっております。今後もベクトルの合う事業者や地域の自治体、政府関係者と一緒にインバウンドマーケティングに取り組んでいければと思っています。

Q5.最後に今後の展望について教えてください。
民泊という認知は広まっていますが、バケーションレンタルという広義の意味でのカテゴリー訴求が課題だと感じています。都市部のみならず、家族やグループで楽しめる家主不在型のバケーションレンタルという旅行スタイルを国内でもっと訴求していこうと考えています。

また、日本の物件自体の供給拡大に注力していくため、空き家問題や有休資産に目を向けていき、インバウンド需要やドメスティックのトラベラーの宿泊先の選択肢が広がるようにしていく必要性があるでしょう。しかし、市場全体の供給を増やすための活動は、1社だけでは限界があります。そこで、住宅宿泊協会(JAVR)という業界団体を立ち上げ、同じ業界でビジネスを展開するプレーヤーと手を取り合いながら、共に市場を成熟させていくための活動を推進していきます。まだ、競合と呼べるほどの市場ができ上がっていないので、まずは業界全体の底上げを目的に、HomeAwayとして何ができるかを考えながら、民泊事業を盛り上げていきたいと思います。

2020年には東京オリンピックが開催されることから、インバウンド中心に観光需要はより高まることが予想される。民泊事業の発展により、旅行者にとっても様々な選択肢が増えれば、地方創生や新たな観光誘致にも繋がることだろう。
HomeAway

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