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Release 企業におけるデジタルヘルスサービス利活用の実態調査

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企業におけるデジタルヘルスサービス利活用の実態調査

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~「健康経営」での利活用推進に欠かせない産業医の意向も把握~

 株式会社日本総合研究所(本社: 東京都品川区、代表取締役社長: 谷崎勝教、以下「日本総研」)は、事務局を務める「日本デジタルヘルス・アライアンス」(以下「JaDHA」)の活動として、産業医を対象に、健康経営の促進に向けたデジタルヘルスサービス(以下「DH」)の利用実態および利用意向に関するアンケート調査(以下「本調査」)を実施しました。この度、その結果を統括報告書としてまとめましたので公表します。
 この統括報告書は、以下からご覧になれます。
 JaDHA統括報告書
『健康経営の促進に向けた産業医のデジタルヘルスサービスの利活用意向に関する実態調査』
 https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/pdf/company/release/2024/0926.pdf

■本調査の目的
 DHは、新型コロナウイルス感染症の拡大期をきっかけに、必ずしも対面での診療を必要としない、そして診察時間外の活用が可能などといった、これまでの診療にはない特徴が広く認識されるようになりました。DHの開発に参入する事業者が増える中で性能も向上を続けており、生活者の日常的な状態を取得・分析して助言を行うといった、データ利活用で健康増進を支えるサービスなどが提供され始めています。
 また、DHは、医療従事者の確保が難しくなる中で、医療提供体制を持続可能にさせる手段としても注目を集めています。特に企業からはコスト面での有利さが評価され、近年は「健康経営」に取り組む企業において、個々の従業員が抱える健康課題を解決する手段の一つとしての期待が非常に高くなっています。一方で、成長の途上にあるDHの市場は、玉石混交の状態であることが指摘されており、健康経営での利活用の促進を阻害しているとも言われています。
 そこで、JaDHAでは、企業・団体の健康経営のキーパーソンである産業医を対象に、DH利活用についてのアンケート調査を実施しました。企業・団体がDHを導入した際の情報収集方法や購買決定要因、実際の利活用状況のほか、懸念点や今後の期待などを明らかにすることで、企業が安心してDHを導入できる市場環境づくりに必要な提言を行うことを目的としたものです。

■本調査結果の概要
1.産業医の8割以上がDHの利活用に価値を見いだしている
 産業医の8割以上が、健康経営の推進においてDHの利活用に価値を見いだしていることが分かりました。なお、DH単体での利活用に価値があるとする回答が33%であったのに対し、保健スタッフの指導と組み合わせた利活用が望ましいとの意見は51%に上りました。その場合、例えば、保健スタッフによる定期的な対面指導の合い間に、DHからは健康増進を支援する知識やメッセージを提供する形での利活用などが考えられます。

2.導入の中心は「個人の行動変容を支える」DH
 企業においてDHは、運動習慣や禁煙、食生活など、主に生活習慣病の改善を目的としたサービスで導入が進んでいることが分かりました。また、従業員のメンタル不調の改善に資するサービスでも多く活用されていました。DHには、セルフケアを促す行動変容アプリが豊富にあり、このことが導入状況にも反映されています。
 一方、フレイルや認知症予防、目の症状の予防・対策を目的とするなど、生活習慣の改善だけでは解決が困難な症状向けのサービスの導入率は低くなっています。また、女性特有の健康課題の改善を目的としたサービスについては、大規模企業や健康経営推進企業での導入状況とそれ以外での導入状況には、大きな差があることも明らかになりました。

3.企業規模や健康経営に対する注力度によって異なる導入状況
 DHを導入済みの企業に所属する産業医は、全体の約3割でした。このうち約6割が大規模企業を中心とする健康経営推進企業(注1)であった一方、中小規模の企業は約2割にとどまりました。
 導入の検討で使用した情報源については、大規模企業を中心とする健康経営推進企業では、国内外の論文、学会発表といった一次情報が中心でした。一方で、中小規模の企業では、サービスの導入実績や利用者の口コミといった二次情報を中心とする傾向がみられました。

4.情報収集の負荷を下げる第三者認証がDH普及の鍵
 中小規模の企業や健康経営への注力度が低い企業を中心に、DHを導入する際の障壁として最も多く挙げられたのは、費用対効果を判断しづらいことです。続いて、有用なDHを選択することの難しさや、従業員に使用方法を説明するリソースの不足などが挙げられました。
 また、個々のDHの有用性を示す第三者による認証制度が構築された場合、企業規模や健康経営への注力度を問わず、約8割以上の産業医が、DHによるサービスを一層導入しやすくなると回答しました。

■今後の展望
 企業におけるDHの導入状況には、企業規模や健康経営に対する注力度によって大きな差異があることがありました。これは、散在しているDHに関する情報を収集し、整理・活用する際に必要な費用や労力の負担能力と密接な関係があります。そのため、個々のDHの有用性などに関する情報を集約し、産業医が適切なDHを容易に選択できる環境を整備する必要があります。
 例えば、第三者認証による客観的な評価の結果をサービスリストとして公開すれば、自社の健康経営上の課題解決に適切なDHを探索し、導入の意思決定をすることが容易になると考えられます。また、こうして需要側の行動が変容することが、供給側のサービス開発行動に影響を与え、科学的エビデンスの構築が促進される好循環を生むことも期待できます。 
 DHの普及を進めるには、需要と供給双方にとって魅力のある形での市場の環境整備が必要です。DHの開発や品質評価の在り方に関し、先行する米国や英国などでは産官学が協働しながら合意形成が進められています。JaDHAでは、DHの適切な選択と利活用を促進すべく、今後も需要側や各担当省庁と連携を深め、サービス供給側から実施可能な方策の提言や、課題解決の実践に取り組んでいきます。

■本調査概要
 調査時期: 2024年2月20日~3月22日
 調査対象: 産業医 104名(JaDHA会員企業などに所属する産業医の方)
 調査方法: インターネット調査

■日本デジタルヘルス・アライアンス(略称: JaDHA)について
 業界の垣根を越えた横断的研究組織であることを特長とし、各業界の都合、論理や思惑を排除し、真の価値追求に向け、あるべき論に立脚した議論と活動の推進を理念とする組織です。
 具体的には、
 ・ 日本におけるデジタルヘルス産業の発展、関連サービス・技術の普及促進を阻害する課題を深く洞察し、
 ・ 課題を克服するための施策および方策の研究を進め、研究成果の情報発信・政策提言・普及活動などにとどまらず、政策・制度の実装の追求を通じ、
 ・ デジタルヘルス産業の活性化および関連サービス・技術等の社会的受容性の向上などの実現により、国民の健康増進と産業発展に貢献する
ことを目的としており、ICT企業、ベンチャー企業および医薬品・医療機器メーカーなど100社以上の会員が活動しています。

(注1)健康経営銘柄/ホワイト500/ブライト500のいずれかに該当する企業および団体と定義


■本件に関するお問い合わせ先
【報道関係者様】 広報部             山口 電話: 080-7154-5017
【一般のお客様】 リサーチ・コンサルティング部門 南雲 電話: 080-8411-3567
※入会に関するお問い合わせは、JaDHAホームページ(https://jadha.jp/admission/index.html)をご覧ください。

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