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Release アートの価値をブロックチェーンで支えるスタートバーン、京大・東大関連VCなどから11.2億円を調達

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アートの価値をブロックチェーンで支えるスタートバーン、京大・東大関連VCなどから11.2億円を調達

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アートの信頼性担保や次世代NFTのインフラ提案を含む、3軸のネクストステップを公開

このたびスタートバーン株式会社は、みやこキャピタル株式会社(京都大学認定民間VC)、株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)および複数の投資家を引受先とした第三者割当増資により、総額11.2億円の資金調達を実施いたしました。今回の資金調達により、アート作品の信頼性を守るためのブロックチェーン証明書「Cert.」の仕組み強化と国際的な普及を推進します(1)。また、アートのためのブロックチェーンインフラ「Startrail」を応用して、次世代NFTのバックエンドシステムを提案(2)。加えて、ウェブメディア「Tokyo Art Beat」をアップデート(3)。これら3軸の取り組みについて、未発表の詳細を含めて公開します。

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スタートバーンは、2015年にローンチした前身サービスの課題を解決するため、2016年にブロックチェーン技術のリサーチを開始しました。そして2018年には、アート作品の信頼性と真正性の担保ひいては価値継承を支えることを目指し、非中央集権的なインフラ「Startrail(旧 Art Blockchain Network)」を発表。また、2020年には「Startrail」をより簡単かつ安全に活用するためのインターフェースとして「Startbahn Cert.」を公開しました。現在は、展示・売買・蒐集・査定・保存・継承など様々な領域のステイクホルダーが存在する、アート業界固有のエコシステムを支えるべく、当事者へのヒアリングを元に改良を重ねています。このたび調達した資金により、下記3点を軸として、さらなる社会実装に取り組みます。


アート作品の信頼性を守るため、ブロックチェーン証明書「Cert.」を強化
1. 発行者の審査を徹底
2. ブロックチェーン上の情報と作品の紐付けを強化
3. アーカイビングとしての機能を追加
4. デジタル作品への発行対応を開始
5. 国際的な普及

次世代NFTの活用に向けて、二次流通を見据えたバックエンドシステムを提案
1. コンテンツを長期的に守り育むための法人向けNFT導入パッケージを提供開始
2. 既存のNFTマーケットが抱える課題への最適解を公開

「Tokyo Art Beat」のユーザーの期待に応えるアップデートを実施



1. アート作品の信頼性を守るため、ブロックチェーン証明書「Cert.」を強化

スタートバーンは、2020年よりアート作品のためのICタグ付きブロックチェーン証明書「Cert.」の発行サービス「Startbahn Cert.」を開始しました。Startrailに格納された情報を、紙の作品証明書のように親しみやすく利用できるインターフェースを提供しています。作品流通の国際化や、コロナ禍での非対面販売の増加、テクノロジーに期待する若年層コレクターの増加、さらには今春報道された贋作流通問題などを背景に、確かな情報継承による価値担保を求める多くのアート関連事業者へ導入されています。

さらなる需要に応えるべく、Startbahn Cert.をより強固で信頼性の高いサービスへとアップグレードします(1.~3.)。また、これまで対応してきた絵画や彫刻などの作品に加え、デジタル作品への対応を開始します(4.)。さらに、本格的な国際展開を実施します(5.)。


1. 発行者の審査を徹底

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アート作品の信頼性を担保するため、特にCert.へ最初に記録される作品情報の真正性を重視しています。そのため、Cert.を発行するユーザーに対しては、事前にKYC(顧客確認手続き)を行い、事業者名とイーサリアムブロックチェーン上のコントラクトアドレスを公開しています。現状は、Cert.を発行できるユーザーを法人格に限定しています。さらに今後は、より高精度かつスムーズなKYCプロセスへのアップグレードを予定しています。


【 プライバシーの保護 】

一方、作品の購入者などのCert.を受け取る個人ユーザーについては、スタートバーンが氏名・住所などの個人情報を受け取ることはなく、もちろんブロックチェーン上にも記録されません。顧客情報の完全な秘匿化のため、Cert.を移転する際のメールアドレスを暗号化するオプションを用意しています。


2. ブロックチェーン上の情報と作品の紐付けを強化


Cert.の信頼性を高めるためには、その情報と作品そのものが乖離してしまったり、意図的に別の作品とすり替えられることを防ぐ必要があります。既に提供しているICタグについては、その仕様をアップグレードします(a)。加えて、作品の撮影・分析データなどをCert.に格納(b)することで、作品と情報の紐付けを強化します。


a. ICタグの仕様をアップグレード

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作品と情報の強固な紐付けを実現するため、作品本体に直接貼付するタイプのICタグを用意しています。現在採用しているICタグには、200年の耐久性が保証されているチップが使われています。万が一破損した場合も、その旨をCert.に記録の上、再発行が可能です。

また、全てのICタグには「ユニークID」が割り振られているので、同一のIDを持つICタグは世の中に存在しません。該当のIDをCert.に書き込むため、作品に添付されたICタグを複製して偽装することは困難です。

さらに、ICタグの貼り替え防止のため、作品から剥がすと物理的に破損する仕様のICタグにアップグレードします。また作品保護の観点から、作品への影響が少ない中性素材シールを採用します。


b. 作品の撮影・分析データを格納

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上記のアップグレードに加え、より強固な紐付けを実現するための機能を追加。作品の撮影・分析データを、Cert.の発行者と現所有者のみが閲覧できる形でCert.に格納します。予算と目的に応じたソリューションを提供します。

基本機能として、作品の背面に書かれたアーティスト本人のサインなど、作品の識別に活用できる画像データを格納できます。オプション機能として、作品の高精細画像や、作品に含まれる物質や成分までを検出するハイパースペクトルカメラで取得されたデータを格納することも可能です。

さらに、素材や成分までをクローニングした複製物についても識別を可能にするために、固有のIDを持つ分子レベルかつ酸化しない透明粉末を作品に吹きかけ、その情報を格納することも可能です。


3. アーカイビングとしての機能を追加

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Cert.の役割は、作品の真正性や信頼性の担保にとどまりません。作品の価値を後世に残し続けるためのアーカイブツールとしても活用できます。

Cert.には、作品の来歴だけでなく、展示歴・修復歴・鑑定歴など、作品に関わる様々な記録を残すことができます。

また、2.-b. のように作品の撮影・分析データを格納することで、作品が制作された当時の色味や質感を情報として残すことができます。劣化することのないデジタルデータそのものの保存はもちろん、それらのデータを参照して、実作品の修復や鑑定を行うこともできます。


4. デジタル作品への発行対応を開始

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これまで対応してきた絵画や彫刻などの作品に加えて、デジタルデータのみで構成されたデジタル作品への発行受付を開始しました。デジタル映像・音声データ・3Dデータのような形式のデジタル作品に対しても、Cert.の発行が可能です。

昨今、脚光を浴びている「NFTアート」。複製が容易に行われてしまうデジタル作品では難しかった、所有者であることの証明を実現するものとして注目されています。そのような観点では、Cert.が発行されたデジタル作品も「NFTアート」に該当します。

一方でCert.は、アート作品の投機的な取引を斡旋するものではありません。作品の来歴などを永続的に記録することで、作品の価値継承をサポートします。作品の流通や利用について事前に設定した規約を、サービスを横断して実行させることで、アーティストおよび所有者の権利を保護します。


5. 国際的な普及

Startbahn Cert.、およびその基盤であるStartrailは、より多くの作品の永続的な価値担保、および網羅的な二次流通・利用の管理を支えるため、世界中のアート市場で利用されることを目指しています。

このたびの資金調達により、アメリカ、イギリス、中国をはじめとしたアート市場を牽引する主要諸国への普及に向けて、本格的な国際展開を開始します。既にアメリカとシンガポールでの事業を開始しています。

さらに、現状アートのための土壌が整備されていない諸外国に対しても、インフラとしての提供を推進します。既に、カンボジア、タイ、スリランカでもサービスが導入されています。


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Startbahn Cert. 概要

アート作品に関する情報の真正性と信頼性を担保しながら管理できる、ICタグ付きブロックチェーン証明書「Cert.」の発行サービスです。アート作品の所有者は証明書情報の閲覧が、アート作品の流通に関わる事業者はウェブインターフェースを通して証明書の発行・移転が可能です。 Startbahn Cert.は、アート流通のためのブロックチェーンインフラ「Startrail」を利用して構築されています。Startrail上に記録される情報を、現行の紙の作品証明書のような親しみやすいユーザーインターフェースに変換し、誰でも手軽に安心して作品を管理できる仕組みを提供しています。

【対象】ギャラリー、オークションハウス、アーティスト、ECサービス、美術館、アートコレクションなどのアート関連事業者
【価格】初期導入・月額費用無料。Cert.発行 1,000円/1件(2021年5月現在)
【利用に関する問い合わせ】https://cert.startbahn.io/ja
【取材に関する問い合わせ】pr@startbahn.jp (広報担当 水野)
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2. 次世代NFTの活用に向けて、二次流通を見据えたバックエンドシステムを提案

昨今「NFTアート」が脚光を浴びています。NFTとは、ブロックチェーン技術を用いたデジタルアセットの一種です。複製が容易に行われてしまうデジタルコンテンツでは難しかった、所有者であることの証明を実現するものとして注目されています。一方、その流通には多くの課題が潜んでいます。特に留意すべき点は、既存のNFTサービス同士の互換性がなく、サービスを横断した二次流通・利用が難しいことです。

スタートバーンは、ブロックチェーンおよびNFTを活用して、アート作品の信頼性と真正性を担保するためのインフラ「Startrail」を構築しています。アート作品をはじめ、広義のコンテンツを守り育んでいくためにも、その権利や情報の長期的な継承が重要であると強く認識し、二次流通・利用を管理できる仕組みを実現してきました。

こうしたStartrailの仕組みを生かして、これからNFTを導入したい事業者に向けたパッケージ提供を開始(1.)。さらに、既にNFTを導入しているマーケットプレイスに対しても、サービス横断で互換性を持たせるためのソリューションを提案します(2.)。


1. コンテンツを長期的に守り育むための法人向けNFT導入パッケージを提供開始


昨今のNFTの動きを受けて、著名なコンテンツを取り扱う事業者から、NFT導入に関するご相談を多数いただきました。こうした需要を受けて、スタートバーンは新たにNFT導入パッケージの提供を開始。コンテンツを取り扱う事業者がNFTサービスを開始するためのシステムおよびソリューションを提供いたします。

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NFTサービスの開始には、希少なブロックチェーンエンジニアの採用と多くの開発時間が必要です。また、サービスを継続して運用するために、度々のシステムアップデートを要します。同パッケージを活用することにより、こうしたコストと時間を削減し、サービス自体の構築・運用に集中することができます。さらに、コンテンツを長期的に守り育むために重要な、二次流通管理も実現できます。

既に運用されているサービスにNFTを導入するための接続システムとしてはもちろん、一からサービスを構築する場合の基盤としても活用いただけます。さらに、NFTを活用した事業企画および戦略策定までサポートします。


※詳細は、プレスキット内PDFを参照。

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NFT導入パッケージ 概要

【対象】ECサービス(自社コンテンツ売買、CtoC売買)、ゲーム(トレーディングカードなど)、ソーシャルネットワークサービスなどを運営するコンテンツホルダー
【価格】非公開(2021年5月現在)
【利用に関する問い合わせ】biz@startbahn.jp (事業開発部 太田)
【取材に関する問い合わせ】pr@startbahn.jp (広報担当 水野)
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2. 既存のNFTマーケットが抱える課題への最適解を公開

既存のNFTマーケットプレイスに対しても、その権利や情報をマーケットプレイスを横断して長期的に継承できるソリューションを公開します。既にマーケットプレイスで扱われているNFTに対して「Startrail PEG」を付与することで、他社のプラットフォームやサービスとの相互運用性を持たせることができます。

例えば、NFTコンテンツの制作者は、自分の権利を守るためにコンテンツの流通や利用について規約を設定し、サービスを横断して継承できるようになります。さらに、サービスを横断した還元金の自動実行も可能になります。
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具体的な仕組みは、2021年5月末に公表予定です。

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Startrail PEG 概要

【対象】NFTマーケットプレイス、NFTインフラの運営事業者
【価格】無償(2021年5月現在)
【利用に関する問い合わせ】biz@startbahn.jp (事業開発部 太田)
【取材に関する問い合わせ】pr@startbahn.jp (広報担当 水野)
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3. 「Tokyo Art Beat」のユーザーの期待に応えるアップデートを実施

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Tokyo Art Beat(TAB)は、2004年の創設以来多くのアートファンに愛され続けているウェブメディアです。月間平均500件におよぶ日英バイリンガルの展覧会情報と、最新アートニュースを伝える記事で構成され、Twitter(約27万フォロワー)、Instagram(約7万フォロワー)など、ソーシャルメディアでも人気を集めています。(2021年5月現在)

2020年10月1日よりスタートバーンへ参画し、最先端のテクノロジーを活用したリニューアルを計画中。これまでアートを楽しんできたTABユーザーの期待に応える機能や情報を届けられるようアップデートを進めます。

今秋には、ウェブサイトとアプリをリニューアルし、アプリではiOSに加えてAndroidへの対応を予定。展覧会情報の規模も全国へと拡大します。

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Tokyo Art Beat 概要

【対象】アートファン、アートにこれから興味を持つ人
【URL】https://www.tokyoartbeat.com/
【アプリ】無料(有料会員:月額300円/年間1,500円)
【利用・取材に関する問い合わせ】contact@tokyoartbeat.com(株式会社アートビート 諸岡)
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■ これらを実現するチーム

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積極的な国際展開に向けて、社内では組織のアップデートや採用の強化に取り組んでいます。現在、社内の2割以上は海外出身者で、日本国外からリモートワーク勤務をしている従業員もいます。2021年9月より、社内公用語は日本語から英語に完全シフト予定。既に、社内でのコミュニケーションのほとんどが英語で行われています。


経営体制


[表1: https://prtimes.jp/data/corp/16730/table/33_1.jpg ]


[表2: https://prtimes.jp/data/corp/16730/table/33_2.jpg ]



資金調達引受先

みやこキャピタル株式会社
株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)※1
田口美和
有限会社オプス
株式会社SXキャピタル
TBSイノベーション・パートナーズ合同会社
株式会社iSGSインベストメントワークス
中野善壽 ※2
山本誠一郎 ※2

※1 一部新株予約権付社債にて引受。新株予約権は株式転換済み。
※2 新株予約権付社債にて引受。新株予約権は株式転換済み。


既存投資家

株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)
株式会社SXキャピタル
SBIインベストメント株式会社
株式会社電通グループ
ほか

スタートバーンは、本資金調達に先立ち2020年8月に新株予約権付社債にて1.6億円の資金調達を実施しており、これにより今回の資金調達額は総額11.2億円、これまでの累計資金調達額は約16億円となりました。


■ スタートバーン株式会社とは

スタートバーンは世界中のアーティストそしてアートに関わる全ての人が必要とする技術を提供し、より豊かな社会の実現を目指す会社です。アートのためのブロックチェーン証明書「Cert.」の発行サービス「Startbahn Cert.」を提供しています。また、Startbahn Cert.を裏付けるブロックチェーンの仕組みとして、アート流通・評価のインフラとなる「Startrail」の構築を推進。法人・団体とのブロックチェーン共同事業なども展開しています。

【会社名】 スタートバーン株式会社
【代表】 施井泰平
【設立】 2014年3月26日
【所在地】 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟 255
【 HP 】 https://startbahn.jp/


■ 本プレスリリースに関するお問い合わせ

スタートバーン株式会社
広報担当:水野
pr@startbahn.jp

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