今回テッカブルで取り上げるのも、他分野の企業が編み出した解決策。AOSモバイル社による「一回で受け取る宅配ソリューション」だ。同社では主幹事業として、SMS(ショートメッセージサービス)を使った法人向けソリューション「AOSSMS」と、ビジネスチャット「InCircle」を展開。この2つのサービスを組み合わせて、配達効率の大幅な改善に臨むという。はたして、そのシステムの実体とは?
InCircle事業部開発部長、米川 孝宏(よねかわ たかひろ)氏と、SMS事業部営業部長、菅野 智也(かんの ともや)氏が、取材に応じてくれた。
・少しのコミュニケーションを加えることで宅配の効率をアップ
Q1:まずは、このソリューションの仕組みと特長についてお聞かせください。御社の基幹である2つのサービスと組み合わせているそうですが、それぞれどのような形で連携しているのでしょうか。
(米川氏)「AOSSMS」は、企業とすべてのモバイル端末を、SMSで双方向にメッセージ送受信できるサービスです。不特定多数の顧客と企業側が、チャットでやりとりできるようになっています。
一方、「InCircle」は、企業内の業務に適したセキュアチャットプラットフォームです。これら2つのチャットプラットフォームでは、それぞれAPIが公開されています。この2つのAPIを、両手で仲介し連携する形で、本ソリューションの業務ロジックを担う、チャットボットが稼働しています。
Q2:一見、宅配とは無縁に思われるサービスを生かしてまで、システムを構築しようとしたのはなぜでしょうか。
(菅野氏)弊社のサービス(「InCircle」と「AOSSMS」)は、コミュニケーションツールです。一見、無縁に思われる宅配ですが、宅配も荷物を届ける人と、受取る人のコミュニケーションだと考えています。
「現在の宅配に、少しのコミュニケーションを追加することができれば、より効率的で便利な宅配になるのではないか?」と思い、サービスを開発しました。配達日当日に送る「今日の何時に荷物を届けます!」というメッセージが、日常の挨拶のような役割を担ってくれるでしょう。
・人と人とのつながりを重視したスマート社会を実現したい
Q3:システムを作り上げるにあたって最も苦労したのは、どのようなところでしょうか。
(米川氏)チャットボットは、顧客側と企業側、双方の仲介役です。機械的に事務処理する無機質なロボットではなく、有能でありながら気が利いて、優しく対応してくれるような存在となるよう、心がけました。
企業内では、協調して働いている一社員のような相手であり、お客さまには企業の顔となる存在です。社内外のコミュニケーションが向上し、企業イメージアップ、働きやすさ向上につながれば、と思っています。
Q4:正式リリース後の展開について、教えてください。
(菅野氏)今回のソリューションでは、さまざまなコミュニケーションツールで人と人をつなぐことはもちろん、人の顔をした弊社独自のボットも活躍しています。
コミュニケーション向上が大きな効果を生み出すシーンは、配達のみならず、さまざまな分野に潜在していると思います。(将来的には)弊社の提供するスマートコミュニケーションで、スマート社会を実現していくつもりです。
配達員の連絡をスムーズにし、人手不足をカバーするのも本ソリューションの大きな特長。サービス開始は、5月1日。システムを普及させるには、消費者である私たちの協力も必要だということを、ひと言記しておこう。(取材・文 乾 雅美)
一回で受け取る宅配ソリューション