人々がお互いに歩み寄り、理解し合おうとすることが大切だが、相互理解を促し、平和維持のスキルを高めるため、“ビデオゲーム”という形態を採用しようという試みに、ダブリン大学トリニティ・カレッジのチームが取り組んでいる。
・VRのオンラインRPGゲームを通じて学ぶ
それが「Gaming for Peace」という、バーチャルリアリティのオンラインロールプレイングゲームだ。ゲーム開発の目的は、プレイヤーにコミュニケーション能力、異文化への感受性、異性への理解といった、対人関係、平和維持に役立つスキルを教授すること。
特に、EUの軍隊、警察、官僚といった、紛争地帯に配属され、任務を遂行するような人々への教育ツールとして活用されることが期待されている。
・アバターは実際の自分とは敢えて異なるキャラクターに
プレイヤーはまず、ゲーム内で自身の分身となるアバターを決定するが、本来所属している組織とは別の所属となり、性別や国籍が現実の自分とは異なるケースも多い。
プレイヤーはアバターを通じて、アフガニスタンやパレスチナ、リビアなど、紛争地帯で起きるさまざまなシナリオに挑戦していく。
・自身の体験をゲーム開発に活かせる
敢えて現実の自分とは異なる視点で、紛争と直面せざるを得ない状況となることで、コミュニケーションの大切さ、協調性、異文化の許容、異性への配慮など、普段の生活ではなかなか見えてこない、数多くの体験を通じ、学びを深めていく。
また、プレイヤーはゲームの評価をおこなうことができ、自身の平和維持の体験を、今後の開発へ活かせるようになっている。
・欧州委員会の支援を受け、2018年に完成予定
「Gaming for Peace」は、欧州委員会から200万ユーロ(約2億5000万円)の資金を集めて開発が進められており、2018年までに完成させたい意向。人々の意識啓蒙が、争いを減らし、失くす力にきっとなるはずだ。
Gaming for Peace