それにも関わらず多くの人が、その存在を知らずに過ごしている。原因は、配布先が役所や公共施設に限られているため。これでは地域住民に読まれる機会も、ほとんどないだろう。
そこに着目したのが、福岡の企業、ホープだ。同社が開発したのは、自治体が発行する広報紙や、ホームページの新着情報を、スマートデバイスで閲覧できるアプリ「i広報紙」。リリースからわずか1年余りで、10万ダウンロードを誇る人気サービスに成長した。
取材に応じてくれたのは、社長室長の田中 悠太(たなか ゆうた)氏。サービス提供の経緯から今後の展望まで、じっくりと語ってもらった。
・簡単かつ身近に行政情報を閲覧できるプラットフォーム
Q1:このようなサービスを提供することになったきっかけについて、お聞かせください。
東日本大震災の際、“物流がないため、広報紙が出せない”ということを知り、それならアプリで配信すればいいのでは、と思ったことがきっかけです。
それから広報紙や行政のホームページについて詳しく調べたのですが、意外にも面白く、重要な情報が多い一方で、購読率の低下が著しいことが判明したのです。これら行政情報におけるミスマッチを解決するためにも、統一されたプラットフォームが必要だと考え、サービス提供に至りました。
Q2:「i広報紙」とは、どんなアプリなのでしょうか。
ひとことで言えば、“行政情報に特化したニュースアプリ”です。“プッシュ通知によるお知らせ“や、“SNSを使ったシェア機能”なども搭載しています。
行政情報というと、「どこにあるのか知らない」と言われることが多いのですが、アプリ化によって多くの方々が、より簡単に、より身近に行政情報に触れられる環境を作っていきたい、と考えております。
・めざすは日本全国1,800自治体導入
Q3:300自治体導入、10万ダウンロードという輝かしい実績を達成されましたが、ここに至るまで、最も苦労したことは何でしょうか。
世にないサービスを提供するということで、特に前例を重んじる自治体への営業活動は、苦労しました。それでも300という数字まで到達できたのは、全国の広報担当者の皆さんが、情熱を持って広報紙を作られていることを知ったからです。
その想いに応えたいと訴えたこと、またスピード第一の開発体制で、さまざまな仕掛けを出し続けてきた結果の積み重ねだと思います。ただ、自治体の数は全国で約1,800ありますので、残り1,500自治体に向けて、(これからさらに)頑張るつもりです。
Q4:サービスの今後の展開について、決まっていることがありましたら、教えてください。
当たり前ですが、より多くの方々に使ってもらえるサービスにすることです。
そのために、アプリの機能改善はもちろんのこと、オリジナルコンテンツの配信や、1月に実施して想定の倍を超える申し込みをいただいたプレゼントキャンペーンなど、他社さまのサービスおよびメディアとの提携を、積極的に図っていきたい、と考えております。
(こうした取り組みを続けながら)「i広報紙」によって、地元や旅行先にある自治体を好きになる人が増えていってくれれば、幸いです。
町内のイベントや育児関連など 暮らしに役立つ情報が満載されている「i広報紙」。料金はもちろん無料。地域再発見にもつながりそうなので、ぜひ利用したい。
住むまちをもっと好きになるアプリ i広報紙