「ある日突然、巣がガラ空きになっている」というような、原因不明でミツバチが大量に失踪するColony Collapse Disorder(CCD、蜂群崩壊症候群)は、日本だけでなく、アメリカなど世界中で増加している。
ハチの代わりに植物の受粉を促す“ハチ型ロボット”
植物が受粉できない状態が続けば、いずれ世界の食糧問題の要因ともなりかねない。この大きな問題に、Robert Wood氏、Kevin Y. Ma氏らを中心とした、ハーバード大学のSchool of Engineering and Applied Sciences (SEAS) とWyss Institute for Biologically Inspired Engineeringの共同チームが取り組んでいる。そのプロジェクトが「RoboBees」である。
「RoboBees」は、一言でいうと“ハチの形をしたロボット”である。この“ハチ型ロボット”は、カーボンファイバー製のボディフレーム、電流に反応する圧電アクチュエーターのセラミックストリップや、プラスチック製のジョイントなどで構成されている。
内部には、バランスを制御する独自のシステムが搭載されており、リアルタイムでそれぞれの羽の動きを統制し、羽ばたきの回転運動をコントロールする。これにより、1秒間に120回の羽ばたきをするハチの動きを再現している。
より大きいタイプの開発も視野に
本物のミツバチは花と花の間を行き交い、花蜜を集めるとともに、植物の受粉を促進する役割を果たす。だが、ロボットのハチは花蜜を集める必要はないので、受粉のみを実行するためのものだ。
研究チームによると、現在開発されているプロトタイプは小型のタイプだが、内部にバッテリーや電気回路装置などを搭載している、より大型のバージョンの開発構想も描いているという。
消えゆくミツバチの原因は不明であったとしても、私たちは長く待ってはいられない。植物の受粉を果たすため、このような代替の技術の開発が待たれる。
RoboBees