株式会社エニグモ、事業開発室、室長の飯田純房(いいだ すみふさ)氏に話を聞いた。
■著者、翻訳者、読者をつなぐ、電子書籍プラットフォームへ
Q、ずばり、BUYMA Booksとはなんですか?
「世界中の著者、翻訳者、読者をつなぐ、電子書籍プラットフォームです。
著者からは、初期コストなしで自分の本を翻訳して世界中に販売できる。
翻訳者からは、好きな本を翻訳して、売上に応じた収益を得られるサービス。読者にとっては、世界中の本を電子書籍で自分の言語で読めるサービスです。
弊社で運営しているBUYMAは、世界中の商品を現地に住むバイヤーが買い付けてくれるサービスですが、この仕組みをコンテンツの分野で展開できないかと考えました。
世界には膨大な数の本やコンテンツがありますが、コストや手間の問題で翻訳されるものはほんのごく一部です。ソーシャルの力で世界に自分の本を広めたい著者と、好きな本を翻訳して広めたい翻訳者をマッチングして、自然とよいコンテンツが世界に流通していく仕組みを目指しています。」
Q、このサービスの開発時に苦労した事など、エピソードを教えてください。
「著者と翻訳者をマッチングして、電子書籍販売まで一括してできるプラットフォームは世界でも前例がほとんどないので、契約スキームを構築するのに苦労しました。
翻訳物の著作権は翻訳者が著者に返上する仕組みとして著者に安心して利用してもらえるようにした点、翻訳者保護のために最低販売期間を180日と設定した点、など、著者・翻訳者・読者がそれぞれ最大限メリットを得られるよう、ひとつひとつ課題を解決してきました。」
■英語、中国語、日本語の読者をつかむ
Q、英語を始め世界の主な言語を扱い、世界中に展開して行く予定ですね?今後はどのような本を扱っていきたいですか?
「現在は日本の本を英語と中国語に翻訳するところから始めています。アジアで人気の日本人アーティスト「w-inds.」のファンクラブ会報誌は、日本在住のファンクラブ会員しか手に入れることができないのですが、BUYMA Booksで英語と中国語に翻訳して日本以外で販売しています。
海外でも人気のあるアーティストコンテンツはニーズも高いと思うので、ラインアップを拡充していく予定です。あとはお寿司やお弁当の本なども翻訳者に人気で、日本のよい文化を海外に広めるようなコンテンツにも力をいれていきたいです。」
Q、ユーザーにはどのように使って頂きたいですか?
「本の文章を引用してfacebookにシェアできる「Quotes」機能があるのですが、面白いと思った部分や気になった部分をどんどんシェアして欲しいですね。テクノロジーもどんどん進化していますので、自分の読書体験を他人と共有して、コメントで感想をやりとりするなど、新しい読書体験をして欲しいです。」
■タレント本から文学作品も 発展の可能性
Q、『翻訳されていない本』といえば、例えば昔の文豪の作品などもありますよね?著者から直接依頼されるパターンだけでなく、国内、海外の文学再生に向けて古い名作を扱う計画などはありますか?
「現段階ではまだまだコンテンツが少ない状況ですので、著者や出版社から依頼のあったものを優先的に対応していますが、将来的にはチャレンジしてみたいですね。
BUYMA Booksは翻訳者への報酬が売上ロイヤリティのみですので、翻訳者が売れないと思った本には翻訳がつきません。翻訳者が読者のニーズがあるかどうかを見極めて、本当に価値のある本だけが翻訳されていきます。場所や時間軸にとらわれずに、読者の視点から価値のある本を発掘して世界に広めていくようなプラットフォームに育てていきたいと思っております。」
KindleやiPad miniなど電子書籍用のハードウェアが普及して、電子書籍をネットからダウンロードするのも日常的になってきた今日。すでにネットショップとして大きなネットワークを持つBUYMAの、新規事業に期待したい。
BUYMA Books(バイマブックス)
BUYMA Books(バイマブックス)紹介ビデオ
(Writer: Saera Jin)