2011年にロンドンで起きた暴動の際に、暴徒たちがロンドン動物園の動物を逃がしたり、London Eyeという観覧車に火をつけたといううわさが、Twitter上で爆発的に拡散していったという事件があった。この事例を研究しているUniversity of Warwickの教授Rob Procter氏や、Sheffield UniversityのKalina Bontcheva氏など、5つの大学、4つの企業が共同で研究開発にあたっているのが、「Pheme」というTwitterのデマを検出するプログラムである。
“Pheme”という名前は、うわさや名声をつかさどるギリシャ神話の女神Phemeに由来しているという。研究チームでは、過去どのようにうわさが拡散していったのか、これまでの履歴データを調査した。
「Pheme」のプログラムは、情報ソースやツイートの会話、ツイートされている言語を追跡し、ツイートの発言者までたどっていく。さらに、発言者が信頼に足る人物なのか、あるいはマシンで動くスパムボットなのかをチェック。ツイートは、“speculation(推測)”、“controversy(議論中)”、“misinformation(誤報)”、“disinformation(デマ)” の4つに区分され、発言ツイートの信憑性を総合的に判断するという流れだ。
政府や医療、報道機関など、いち早く情報の信憑性を確かめ、対策を取る必要がある人々にとっては、非常に有益なツールとなりそうだ。また、情報の真偽を見極めやすくなることで、事件や事故の正確な状況把握が可能になるだけでなく、伝染病の拡大防止のため、迅速に対応するようなことにも役立つだろう。
ただし、現在のところ画像をチェックする機能はないという。サービスインまでに、18~20ヶ月ほど開発期間を要する予定だ。拡散力のあるサービスを利用するからには、1人1人が責任感をもち、デマに振り回されない賢いユーザーになりたいものである。
Pheme