GMOペパボが4月2日にローンチした「SUZURI」は、オリジナルのイラストや写真を使って、グッズを製作し販売できるEC基盤サービスである。
同社はショッピングカードサービス「カラーミーショップ」や、古着のフリマアプリ「kiteco」を運営するなど、ECビジネスに積極的である。「SUZURI」とはどんなサービスなのか、運営者である福田氏(写真左)、喜多氏(写真右)に話を聞いた。
■イラストや写真をアップするだけ。すぐにグッズ販売できる
SUZURIは、アマチュアでイラスト制作や写真家活動をしているが、有償で頒布したことがない、ライトなクリエイターを対象にしたグッズ製作・販売支援サービスである。
ユーザーがアップロードしたイラストや写真を、Tシャツ、スマホケース、コーヒーカップ、トートバックにプリントして販売できる。
注文が入ってから、オンデマンドでプリントし、注文者に発送する形式であるため、在庫を持つ必要がない。また、発送や、決済の管理は全てSUZURIが行ってくれるので、初期投資コストをかけず、自分のショップが開ける。
ショップを開けるサービスには、「Store.JP」などの競合があり、グッズのオンデマンドプリントサービスには、「アクセア」、「originalprint.jp」などの競合がある。
例えば、SUZURIを利用したときのTシャツ原価は、2600円、一方で、オンデマンドプリントの場合は、原価1000円程度でプリントできる。
したがって、Store.jpなどのサービスでショップを作成し、価格が安いTシャツをプリントすれば、在庫管理のリスクを取る必要があるが、SUZURIよりも価格を抑えてグッズ販売ができる。ゆえに、約1600円分のコストに見合う付加価値が付くのかが焦点となる。
Q.他のECサービスや、オンデマンドプリントサービスと比べたSUZURIを使うメリットは何ですか?
「SUZURIでは、できるだけユーザーに負担をかけることなく、グッズ販売できるようにしました。SUZURIが指定する画像ファイルをアップロードし、トリブンと我々が呼んでいる利益分を登録するだけで、自分のショップが持てます。カラーミーショップを10年近く運営していて、お客様からは、『ネットショップをやりたいんだけど、売るものがない』という声がよく上がっていましたから、できるだけ簡単に、数クリックするだけでショップが始められるのがSUZURIの特徴でもあり、メリットでもあります。」(福田氏)
■実物を見ているかのような配慮も
クリエイターが自分の作品を使って、手軽にネットショップを開業させられるのがSUZURIの魅力であることが分かった。では、システム面で何か工夫していることがあるのだろうか。
「出品されているTシャツやトートバックの画像に、シワを画像として合成することで、購入者が実物のイメージをしやすいよう配慮しています。また、開発は、エンジニア2名、デザイナー2名の4名体制で行いましたが、あるPaaSサービスを使うことでインフラにかかるコスト節約を実現しています。」(同)
他のオンデマンドプリントサービスでは、シワが付いているTシャツ画像の上に、自分がアップロードした画像を単に貼り付けている場合が多い。
その画像にはシワが付いていないので、実物をイメージすることが難しいからだ。しかし、実際の出品画像を見ていると、全て同じシワのパターンとなっている。
技術的には、シワだけの画像パターンをいくつか用意し、ランダムで並べていき、合成するだけでよい。出品物ごとに異なるシワがあれば、それだけで同じTシャツでも、より個性が強調されるのではないだろうか。
■段階的にショップ拡大できる環境作りができるか
これからネットショップを始めようとしている初心者がSUZURIを使って、グッズ販売で利益が出るようになったら、次はより多くの品目を扱い、さらに売り上げを伸ばし、利益を上げたいと思うだろう。
今後の追加機能として、「カラメル」というショッピングモールサービスや、冒頭で紹介したカラーミーショップとの連携を視野にいれた開発も検討しているという。
エントリーから段階的にショップを拡大できるような仕組みができれば、ユーザーを囲い込むことができるし、そのユーザーが、ショップ拡大戦略を組み立てやすくなるだろう。
クリエイターによるアウトプットが簡単にできるSUZURI。そのSUZURIを使ったショップ運営がより簡単にできるようなサービス拡充に期待したい。
「SUZURI」